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【漫画】焰の眼(3) の感想

焔の眼(3) (アクションコミックス)まだ救われない。どこまでも際限なく落ちる。敗戦国日本でどんなに虐げられても絶対に折れない。主人公・沙羅のドン底物語。

希望が絶望に変わる瞬間

藪椿から脱出した面々がやっと助かると希望を持ったとき、眼前には異国の街並が広がり銃撃を受ける。房子が撃たれた瞬間、思わず「えっ?」って呼吸が止まりました。前巻であんなに頑張って助け出したのに、生まれたばかりの赤ちゃんもいるのに!最後は恩人である恭子も銃弾に倒れ沙羅はひとりぼっちに。あっという間の転落、希望が絶望に変わる瞬間。なんという絶望感!

牙を研ぐ獣と向けられる異常な欲求

舞台はショルゴール入植地に移り、エレノアに買い取られた沙羅は寄宿学校で奴隷としてこき使われますが、これまで地獄をくぐり抜けてきた彼女にとってこの生活はヌルいものだったのでしょう。エレノアや使用人たちから虐められてもその瞳は恐怖せず、同情とも哀れみとも取れる光が見えていました。
そんな沙羅に異常な興味を示したのがエレノアでした。周りからみれば何不自由無く生きてきたお嬢様だからこそ、いろいろと鬱積していたものがあったのでしょう。思い通りにならない沙羅は征服欲の対象になり、また沙羅が暴力で生み出したモノを目の当たりにしたことで生来の異常な性癖が顕在化することになりました。

次に相見えた時はもっと己を脅かしてみろ

この作品中はじめての格闘家同士の戦いとなったゼノvsクロ。薄皮とはいえ、クロにダメージが通ったのはこれが初めてじゃないでしょうか。クロはわざとゼノを逃がし、格闘家らしく再戦を求めます「次に相見えた時はもっと己を脅かしてみろ」と。

ラスト、気を失った沙羅の横にばつが悪そうに座り込むクロが可愛いですね。この運命の出会いはどう転んでいくのか。と思わせておいてすぐに別れてしまうのか、次巻が気になります。

本編の日付は日本史とはあまり関連なさそうです。
1946年1月 日本同化計画を発令
1946年4月 ショルゴール第一次入植団移住開始
1946年8月 ショルゴール第二次入植団移住開始

あらすじ

強制移住区「藪椿」が解体となり日本人大量虐殺が始まる。神衛隊に囲まれ絶体絶命の恭子と小夜だったが、偶然現れたクロに救われる形となり、房子を救出した沙羅と千蔵、そして反抗組織と合流して藪椿脱出を試みる。藪椿の外に出られ安堵した沙羅たちだったが、そこには見慣れた日本の姿はなく、異国のようなショルゴールの街を目撃する。堀の外へ出ただけでは脱出は成らず、追っ手に房子が撃たれ、小夜が撃たれ、千蔵の決死の行動で恭子と沙羅は一旦は逃れるが恭子も銃弾に倒れ、1人残された沙羅も反撃虚しく捉えられる。

マラガラス・アドリエル神衛隊少将の一人娘エレノアに買い取られた沙羅は、奴隷としてアドリエル寄宿学院でこき使われながら使用人たちからイジメを受ける。いくら虐げられても媚びずに反抗する沙羅をエレノアはどうしても屈服させたくなり、また身近な者に向けられた暴力に興奮するようになる。沙羅の存在がエレノアの害悪になると判断した付添人のゼノは、買物に出た沙羅を殺そうとするが、その殺気を嗅ぎ付けたクロが駆けつけ、ゼノとクロの戦いがはじまる。ゼノをあしらったクロは気絶した沙羅の傍らで彼女を見守る。

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